回折型多焦点眼内レンズ
国内で認可を受けている回折型多焦点眼内レンズは、エイエムオー・ジャパン社のテクニスマルチフォーカル、シンフォニー、シナジーと日本アルコン社のパンオプティクス、ビーバービジテックインターナショナルジャパン社のファインビジョンHP、そしてHOYA社のビビネックス ジェメトリックです。回折型は瞳孔の大きさに関係なく近方視が得られます。最近の回折型は、以前のものよりコントラスト感度低下の問題は改善されていますが、単焦点眼内レンズに比べると劣ります。従来は遠近の2焦点だけでしたが、近年は遠中近の3焦点眼内レンズや焦点深度を拡張させる焦点深度拡張型(EDOF)眼内レンズが登場しました。それぞれ、焦点が合う距離が異なりますので、その方のライフスタイルに合わせて選択するとよいと思われます。それぞれの眼内レンズの特徴を表します。
遠くと近くの2か所に、焦点のピークを持つ眼内レンズです。
近くは30cm、40cm、50cmにそれぞれ焦点を持つ3種類があります。
これまで多く用いられたレンズではありますが、2024年3月に40cmと50cmの2モデルが、2024年12月には30cmのモデルも販売終了となります。
遠くと近く(40cm)に加え、中間距離(60-70cm)に焦点を持つ眼内レンズです。とくにパソコンや料理など、中間距離が大切な方には最適な眼内レンズです。眼内レンズの構造上、夜間の不快光視現象(グレア、ハロー、スターバーストなど)が出やすいと言われています。
遠くに加え、中間距離に至るまで、なだらかに焦点を持つ眼内レンズです。自然な見え方を希望する方には最適な眼内レンズです。ただし、近くの細かい作業をする時には老眼鏡が必要となります。比較的不快光視現象(グレア、ハロー、スターバーストなど)が少ないと言われています。
レンズの一部が近くを見るように加工された眼内レンズです。日本で認可されている眼内レンズはその中でも加入度数が少ない参天製薬社のレンティスコンフォートです。いわゆる焦点深度拡張型(EDOF)眼内レンズの範疇に入ります。遠方から中間距離までの自然な見え方が期待されます。しかし、近くを見る時には老眼鏡が必要です。
国内では、単焦点眼内レンズと同じ扱いですので、通常の白内障手術の費用でこの眼内レンズを使用することができます。
他にも国内で使用されている多焦点眼内レンズが複数ありますが、これらは未認可であり、医師の裁量の下、医師の個人輸入により使用されるものです。日本で臨床治験をしていないため未認可ではありますが、欧州では定評のある眼内レンズであり、CEマークという安全基準を満たしているもので、リスクのある眼内レンズというわけではありません。ただし、未認可の眼内レンズを使用する場合は選定療養を利用することはできず、手術に関わる費用は全額自己負担となります。
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